ニューロフォリア 有為の奥山 今日こえて
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有為の奥山 今日こえて

新刊小説「有為の奥山今日こえて」
R-18 とよいち/A5/56P/500円


浅き夢を見よう、酔いもしよう。
与一がひた隠しにする折れた弓の思い出。
秘密ばかりする与一に苛立ちを覚える豊久。
ある日二人は壊れた故郷の品々を弔う為に
山を登って山頂に塚を造りに行くことに。
しかしそこは、幻惑の妖精が棲む霧深い山だった。
uinohyousi.jpg
―― 与一の折れた弓をきっかけに、
     ともに漂流してきた物のを祭るため、山に塚をつくることに。

 荷物の重さは大したことはない。しかし、ドワーフからあんなによけいな知識をもらったもので、雑念が頭から離れない。
 やれ幻惑を見せる妖精の鱗粉を使って性交すれば、とんでもない快楽が味わえるだの、やれ秋でもないのに赤らむ草を食べさせれば、体が火照って簡単に体を許してしまうだの。あのドワーフは顔に似合わず遊び人なのかもしれない。
 与一の腰に結わえ付けられた革製のポーチが、中の薬瓶をカチャカチャ鳴らして視線を誘う。ちょうちょ結びされた若草色の帯が、ふっくらした尻の上で羽ばたいて豊久を誘惑している。
「……尻、大きくなったのぉ」
 豊久がぼんやりしながら言うと、与一はお尻を押さえて笑う。
「あ、背中の次はお尻ぃ?お豊ってばもう盛ってる?」
「ち、違う!も、もちっと、小さく無かったかと言っている……」
「あぁ、だねぇ!お豊が僕のお尻をもんでくれるようになってから、少し下衣の腰回りがきつくなったかもね!」
「ブッハ!」
 その一瞬、岩と岩の間に、真っ赤な草を見つけて思わず噴き出
してしまった。
「な、なしてこんなふざけている時に目に入る!」
「ん?お豊、どうかしたの?」
 ぴょんぴょん調子よく岩を越えていた与一がふっと振り返る。
「な、なんでんなか!」
 そうだ。こんな草なんてなくても、若い与一は向こうから誘ってくる。こんな草は必要ない、必要ないと首を横に振る。現にこうして、ちょっと意識するだけで尻を振って誘っているではないか。そこまで考えたとき、ふと嫌気がさした。
「……なして、こげに与一のことを悪しく見るようになったんだ」
 与一と何度もまぐわって、いつの間にか遠慮が消えてしまったのではないか。
「与一は……那須与一は……おいの英雄でねか……」
 荷物を一瞬浮かせて背負い直すと、にぎやかに荷物が騒いだ。目の前では誘うように飛ぶ蝶。ふりふりと揺れる尻をよこしまな目で見ないために、そっとつぶやいた。
「南無八幡大菩薩、我が国の神明、日光権現、宇都宮……那須の湯泉大明神……」
 大好きな一節だ。命のかかった瞬間に臨む、人間与一の強さと弱さがかいま見える。
「あ、またそれ……」
 与一は岩を数段降りて、豊久の前に立つと、ツンっと鼻の頭に指をやった。今の豊久は、荷物を支えるために手が使えないので、攻撃と言えばカミツキくらいしかできない。からかい放題だと思
うと、与一はうれしくなってしまう。
「そういう勝手な創作、僕、嫌だって言ったよね」
 からかいの笑顔の奥、どことなく暗い笑みがあった。
「そんな細かいことを暗記してるなんて、お豊の賢いことはよくわかったけど、それはイヤ。僕は英雄なんかじゃないし、大人しく八幡様にお祈りするほど敬虔でもないの。今まで僕を見てきてわかったでしょ?」
 大きな鼻を、ふにふにと指で押す。
「僕に勝手な夢、持たないでね」
 豊久の顔の筋肉が緊張する。与一はにんまり笑ってそれをからかう。
「僕が那須与一なんだよ、この世界にたった一人の那須与一なんだから」
 パシンとほっぺたを両手で挟んで、ぐにぐにと遊ぶ。
「そいはわかっちょる。じゃっどん、おいは……おまぁを大事にしたいと決めた」
 ところがそれでも、豊久の真面目な顔は崩れない。
 それでも、親父や叔父上が愛した平家物語を豊久もまた、愛しているのだ。それに、伝説がでたらめだと言うが、与一は屋島で事件があったことを否定しない。少なくとも、豊久の知らない
過去の与一を知るためのほんの少しの手がかりではないか。
「与一ん過去はなぁーんも知らんかもしれん。与一が語ろうとせんからの!」
 たとえ、それが伝説だとわかっていても、もしも万が一、与一が扇を射ったという伝説ですら嘘だったとしても、豊久にとって四百年前からやってきたというだけで尊敬するべきであり、武士という地位が確立され、豊久の時代にまで残るきっかけを見てきたこの生き証人は、間違いなく興味深い人であった。
「そんでも、与一がおらねば、与一が屋島に立たねば、おいは今ここにおらんかった。扇をおまぁが射ち落とさねばきっと……おいは武士でんなかった」
 扇を射落とした一瞬の風は、四百年後には台風となって、群雄割拠の時代を生み出したのだ。
「そんお人を尊敬せん……大事にせん奴がおるじゃろうか!」
 豊久はどれだけ頬をムニムニされても、目に込められた真剣さだけは変わらなかった。与一は泣きそうな顔をした。
「本当に真面目、そういうところ嫌いじゃないけど……好きでもない!」
 与一は鼻をつまんで左右に振った。だけど、豊久は表情を変えない。
「ねぇ、僕はお豊が思ってる以上につまらない人間なんだよ!ヒドい人間なんだよ!ねぇ、単なる奴隷みたいに扱ったっていいんだよ!」
 パシンパシンパシンと何度も頬を挟んでたたく。
「何度そのおっきなマラで僕をめちゃくちゃにしたら、軽蔑してくれるの?」
 そして、悲しそうな表情を浮かべる。
「……僕、君の後ろを歩くので十分な人間……なんだよ……」
 どれだけ大将と持ち上げても、どれだけ媚態をさらしても、
豊久の真面目さは崩れない。豊久の背負っている木箱に眠る、折れた繁藤(しげとう)の弓を思う。ますます、塚に葬らなければならない。豊久に屋島で起きたことの証拠を握られてはならない。もう二度と、こんな真っ直ぐな目で与一を見られないように、はやく埋めてしまわなければならない。
 涙や鼻水で顔がぐちゃぐちゃにならないうちに、どうにかしなければ、と与一は最後にもう一度、パシンと豊久の頬をたたく。
「お豊が超ガンコだってわかった!ちょっとだけ降参する!またがんばるけど……一時停戦。おっけー?」
 エルフ語まじりで泣き顔をごまかす与一が少しまぬけでかわいくて、豊久の頬が笑いでひきつる。
「少しだけ待ってて、顔洗ってくるから。向こうに清水が沸いてたから、お豊にも汲んできてあげる!」
「おう、あいがとさげもす」
 大男が真面目に頭を下げるのを見て、与一は苦笑した。
「まーたそんな大げさなー!」
 顔をしかめてちょっと走った後、困ったような笑顔を浮かべ
ながら与一が振り返った。
「……お願いだから、ちゃんと休んでね」
 ようやく豊久が荷物を下ろしたのを見てから、与一は茂みに
消えていった。
「相当、傷になっとるんだの」
 豊久はぼんやりと与一の消えた茂みを眺めた。
「おいで、どうこうできるもんでん無いことは、わかっちょる」
 過去は過去だ、どうしようもない。壊れた物を前の姿そっくりそのままに取り戻しはできない。与一の見えない傷はふさいでやることもできない。
「祇園精舎の鐘の声 沙羅双樹の花の色……盛者必衰の断りを表す……」
 物事は流転している、美しい鐘の音も、風に溶けてしまうように、今目の前に揺れる花もいつかは枯れて色あせる。それが諸行無常。与一が信じる思想。誰もが避けられぬ世の理。
「暗い……暗か!そうじゃねど!なんとか……なんとか与一に、心の底からこの世を楽しんでもらえる方法はなかじゃろか……」
 いつまでも祇園精舎の鐘の声を惜しまずに、枯れた沙羅双樹の花の色を悲しまないように。世の理を受け止めつつ、前を向く方法を。
「薩州でん見た……どこまでも広がる海やどこ行っても見守ってくれている御岳山みてに変わらん物もあるんじゃ……いつ何が消えてなくなるか、そればかりを心配するのは、どれほど苦しいことか……」
 与一は、訳があって過去を捨てられないのだろう。過去が捨てさせてくれないのだろう。
「親父……おやっど……おいに知恵を貸してくれ……」
 あの小さな人を、心の底からほほえませたいのだ。

――いろんなことを悩みながら、
    ワイワイいちゃいちゃ、二人っきりの山登り。

「じゃ、じゃあ……一つだけ……わ、笑わんでくれよ……」
「うん?なぁに?言ってみて」
「……せ、背中に……」
 ごくりとつばを飲んだ。豊久のあまりの緊張しように、与一は首を傾げる。
「お、おまぁの背中に……ぶっかけたか……」
 与一は顔を真っ赤にした。
「ふえぇ!?せ、背中!?背中に……ぶっかけ……るの?」
 あまりの意外なお願いに思わず叫ぶと、豊久の表情がみるみる悲しげに変わっていく。
「あー、うそうそ!い、いいよ?背中向ければいいのかな?」
 与一はスルリと豊久の体を滑り落ちて、腕をのして岩の上に上半身を立てて、いそいそと背中を向ける。
「し、尻ぃこっちに向けてくれ……」
「えへへ……こ、こう?」
 くいっと尻を上げると、ひくついて豊久を誘う尻穴と、ぷるんと震える玉が露わになった。
「き、気持ちよくなかったり、楽しくなかったら言ってくれ……
おまぁが良くないのに、続けても……楽しくなか……」
 豊久が自分にお願いをするなんて滅多にないことだし、豊久が自分の背中に興奮しているというのもなんだかおかしくて、うれしくて、胸がわくわくした。
 豊久の大きな手が、震えながら与一の尻の双丘を開いた。その上に、ずっしりと重みがあって、熱を持った豊久のマラが乗せられた。
「ふあぁ……あつい……」
 こんなにも豊久が興奮してる、そう思うだけで与一の心臓ははじけそうに鼓動を上げる。
「い……痛かったら言え……」
 両手でやわらかな尻の肉を寄せ、ゆっくりと腰を動かして、先走りを潤滑油代わりに使って、ぬるぬると尻の肉の間を往復さ
せる。
「ふふっ……ちょっと痛いくらいが……興奮するかも……」
 与一はこちらをちらりと振り返ってほほえむ。
「お豊が、僕のお尻と背中で興奮してるなんて……すごい……」
 少しずつ赤く染まる白い背中を、湯気がうっすらと隠していく。
ぼんやりとした視界で、しなやかな筋肉を伝い落ちる滴をながめる。何度も夢見たその光景に、豊久の興奮は収まらなかった。だんだんと動きが激しくなり、尻の肉を掴む手に力がこもり、摩擦が激しくなってきた。

―― 頂上の温泉ではちょっとフェチなエッチをしちゃったり……

 ふと、豊久はまぶしさを覚えて目を覚ます。
「……あ……」
 ランプの油はもうすでに尽きて、あたりは真っ暗だった。色という色は消え果てて、全てが深い藍に染まっていた。
 しかし、向こうの山からそんな分厚い緞帳のような藍を押し上げて、少しずつ軽やかな紫色の光が登るのが見えた。
夜明けが来たのだ。いくつも空に色を塗り重ねて昇りゆく太陽を見ていると、豊久の心臓が激しく鼓動を始めた。それは
あまりの美しさに興奮しているのか、それとも、豊久の中に眠る太古の本能が興奮しているのだろうか。
 与一を起こそうと、そっと横を見る。先ほどまで深い藍に取り込まれていた与一も、太陽に照らされて、その美しい肌の色も着物の縹色も、じょじょに色を取り戻しつつあった。安心しきった寝顔はとてもかわいらしい。とりあえず指先で、そっとよだれをぬぐう。思わず目を細めて寝顔をながめた。
 起こすのがためらわれるが、目の前の日の出はあまりに美しくて、やはり与一にも見てもらわねばと思った。そうこうしている間にも金の光に照らされた雲は、そのまま金に輝き、空は桃色を挟んですみれ色、橙と色が広がりながら世界に色を蘇らせていく。
 息をのみ、静寂を破って朝日に歌う鳥の声に背中を押され、ようやく豊久は与一の肩を軽くゆすぶった。

―― がらにもなく朝焼けに感動したり。
     そんなこんなで『有為の奥山 今日こえて』
        新しい一日がはじまる……そんなお話。

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大幸妄太郎

Author:大幸妄太郎
ペル2(達淳)・ドリフターズ(とよいち)に
メロメロ多幸症の妄太郎です。女装・SMが好き。
ハッピーエンド主義者。
サークル名:ニューロフォリア
通販ページ:http://www.chalema.com/book/newrophoria/
メール:mohtaro_2ew6phoria★hotmail.co.jp
(★を@にかえてください!)

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